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【名句鑑賞】鈴に入る玉こそよけれ春のくれ

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【名句鑑賞】鈴に入る玉こそよけれ春のくれ 三橋敏雄

大好きな句です。

これをちょっと読んでみましょう。文語で書かれていますので、意味がわかりにくいかもしれません。
意味は、

鈴というものは鈴の中の玉がいいんだよ。ああ、春の夕暮れだなぁ。

というような感じです。これがばっちりの意味なのかどうかはわかりませんが、大まかなニュアンスでいいんです。

さて、鈴の中の玉なんですが、あれがどうしていいんでしょうか?わかりませんよね?

でも、鈴は外側だけじゃ鳴りません。中に玉が入っているからこそ鳴るんです。そんなもの普通は気にしませんよね?
俳人というのは細かいところに目をつけるのが好きなんです。

この句を見た人はこう思うんじゃないでしょうか?

そうだな。鈴は中に玉があったよなぁ。

さて、ここからが俳句の楽しいところです。思いっきり想像の翼を広げてみましょう。

季語は「春のくれ」です。「春の暮」つまり夕方ってことですね。春ってどんな季節ですか?
この句はなぜ「春のくれ」という季語を取り合わせているんでしょうか?

一般的に春というのは生命的な季節です。冬の間、じっと耐えていた生命が動き始める季節。
この句の中の春というのはそういうものを象徴しているのではないでしょうか?

そして、鈴の中の玉。外側ではなく中の玉。

生命は外見じゃなく中身なんだよ。そんなことを書かれているようにも思えてきませんか?
「たま」は「たましい」とも語感が似ています。

また、春は出会いと別れの季節でもあります。「春のくれ」は夕方ですからどちらかと言えばこの句では「別れ」寄りのイメージでしょうか。
そう考えても、人間は中身が大事。鈴は女性っぽいですから、女性は中身が大事。そんなことを言っているようにも思えてきます。

もちろん、これらは全てわたしの単なる想像です。何の根拠もありません。
作者に質問したわけじゃありませんから…。

でも、根拠なんていらないんです。俳句を読むことは仕事じゃありませんからね。正解なんてありません。自由に読んでいいんです。

鈴に入る玉こそよけれ春のくれ 三橋敏雄

いい句だと思いませんか?

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